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                           チベット族の祖先に関して

 
 大昔、ヒマラヤの奥地全体が湖だったが、ある時、湖水が乾き、草木が生え、鳥獣が棲むようになった。

 観音菩薩からヤルツァンボ河の支流ヤルルン河畔で修行するように命じられた一匹の雄猿が修行に励んでいるところ、
突然羅刹女(羅刹とは仏教でいう悪魔)が現れ、「前世の定めにより 2 人が契れば仲良い夫婦になれます。
もし、断るなら、下界に降りて妖怪の子を山ほど生み落とし、人間を皆殺してしまう」と雄猿に契りを結ぶように迫った。

 困った雄猿は観音菩薩が棲むポータラカ山に赴いて相談した。

 意外なことに観音の教えは、「仏になりたいのならば善を見たら勇んで行え。妖怪の国ができたら、これほど罪深いことはない」ということだった。
 観音さんの話を聞いた雄猿はヤルルン河に戻ったら、羅刹女と夫婦になり、六匹の子猿が生まれて、林の中で野生の木の実を食べて育った。
 その猿たちは成長につれて体毛がなくなり、人間になった。かれらがチベット族の祖先だと言われている。

 ところが、子孫が増えるにつれて木の実が足りなくなってきたので、観音菩薩が世界の中心である須弥山から穀物の種を
一掴み持ってきて、ヤルツァンポ河の河畔に蒔いた、青裸麦が実った。

 この物語が生まれた場所はヤルルン河の中心の町・ツェダンで、ツェダンはチベット語で「猿の遊ぶ所」と言う意味です。
なので、チベット人はツェダンをチベット文化の発祥地だと思っている。

 ツェダン東の貢布山(ゴンポ)には当年雄猿が修行したという小さな洞窟「猴子洞」がある。




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